無発破岩掘削工事

 民家や重要構造物が近い場所での岩石掘削には、発破工法が採用できないため、割岩工法や静的破砕剤工法などの無発破岩破砕工法が採用されます。これらの工法によって、発破による飛石の危険性を無くし、振動や騒音を抑えることが出来ます。

 主な無発破岩掘削工法
  • ビッガー工法(割岩工法)
  • 静的破砕剤工法
  • ガンサイザー工法(蒸気圧破砕剤工法)

 ■ビッガー工法(割岩工法)

 岩盤などにクローラドリルで穿孔し、その孔に油圧式クサビ(ビッガー)を挿入します。油圧ピストンでウェッジを押すことによって、2枚のライナーが岩盤を押し広げ、岩盤にクラックが発生します。その後油圧ブレーカ等で二次破砕をします。

 ビッガー工法の特徴
  • 破砕時の振動や音が非常に小さい。
  • 発破のような飛石は発生しないので、安全である。
  • 仕組みが簡単なので、取り扱いが容易である。
  • 汎用のバックホウに装着が可能である。

 ■静的破砕剤工法

 静的破砕剤「ブライスター」は石灰系の膨張剤で、破砕対象となる岩石やコンクリートに穿孔し、その孔内に水で練り混ぜたブライスターを充填することにより、一定の養生時間後に静かにクラックを発生させることが出来ます。

 ブライスターの特徴
  • 低公害で破砕・・・ブライスターの膨張圧力によって亀裂が発生するため、騒音・振動・飛石が無く低公害で破砕できます。
  • 取扱いの資格が不要・・・ブライスターは火薬類では有りません。取扱いに関しては、法的規制を受けません。
  • 施工が簡単・・・ブライスターを水で練り混ぜ、孔へ流し込むだけで良く、簡単に作業が出来ます。

 ■ガンサイザー工法(蒸気圧破砕剤工法)

 岩盤内に穿孔した孔に破砕剤薬(ガンサイザー)を装填し、込め物をした後、点火器で電気を流すことで破砕薬が酸化還元反応により熱を持ち、ごく短時間(30~50ms)に蒸気が発生します。この時に発生する蒸気圧、ガス圧によって岩盤やコンクリートを破砕します。

 蒸気圧破砕剤「ガンサイザー」の特徴
  • 火薬類取締法の適用を受けません。
  • 運搬、保管、取り扱いが簡単です。
  • 火薬類と比較して、発生する振動は約50%程度です。